あなたも億り人に!? 凄腕シニア投資家が教える 株式運用術#5Photo by Kohei Takeda

87歳現役トレーダー、藤本茂さんの投資スタイルは、テクニカル分析に基づくデイトレード。その売買回数は、月500~600回にも及ぶ。では、具体的にどんな銘柄を売買しているのか。特集『あなたも億り人に!? 凄腕シニア投資家が教える 株式運用術』(全17回)の#5では、史上初めて日経平均株価が4万円を超えた日の、シゲルさんの1日の取引内容を全公開する。(ライター 松田小牧)

初の「日経平均4万円突破」の日
シゲルさんの取引内容を全公開!

「きょうの日経平均株価は間違いなく4万円を超える」──。取材班が神戸市内の自宅で密着取材を行った3月4日、シゲルさんは取引開始前から確信を口にしていた。

 これは、勘ではない。日経平均の先行指標である「日経225先物」の値が4万円を超えていることを、早い段階で確認していたからだ。本稿では、日本の株式史上で記念碑的な日となった3月4日、シゲルさんが行った株取引の全容を明らかにしよう。

 午前8時13分、その日最初の注文となったのはフォスター電機の訂正注文だ。前日までに「1100円」で信用取引の買い注文を出していたが、注文状況を見て「1101円」と1円だけ訂正した。

 シゲルさんの注文方法は、もっぱら「指し値注文」だ。指し値注文の出し方は、大きく分けて三つある。「いま絶対に欲しい」と思えば現在値近くで注文するが、最も多いのは、板やチャートを見て「この状況ならこの値段で買えるだろう」と判断するやり方だ。

 そのほか、「いまの板的には通らない可能性の方が高いけれども、買いたい(売りたい)値段で注文しておく」こともある。1、2番目のやり方は基本的に期限を「当日中」とし、3番目では、「1カ月先まで」とするなど、ある程度の幅を持たせた日数に設定しておく。

 続いて大同メタル工業、スター精密の注文を経て、午前9時、前場が開く。日経平均は始値で4万円を突破した。以降、この日に何の銘柄を売買したのか、一覧図とともに詳細を明らかにしよう。