近藤 孫さんが日本テレコムを買収した2004年当時のことです。それがいまいちうまくいってなかった。Yahoo! BBはある程度軌道に乗っていたので、今度は買収した日本テレコムのサービスを普及させるために僕にネクシーズをもっと拡大しろと言ってきたわけですよ。営業力があるから。僕は孫さんにこう言いました。孫さんは、人を切れるけど、僕は切れないと。もしYahoo! BBの拡販が終わったら、僕は社員を食わしていく仕事がないと。孫さんは、「近藤君、君は信じる力が足らん」と。「これからもっとすごいことなっていくんだ」と言われた。
井上 先ほど言ったように、孫さんは人を切らないですけどね。孫さんから「信じる力が足らん」と言われた?
近藤 そうです。それでアルバイトを中心に人を増やしたんですよ、正社員では怖いから。従業員が5000人ぐらいまで増えたんですね。ところが、日本テレコムがダメになって、孫さんが「近藤君、縮小だ」というわけです。それで僕はキレたわけですよ。ふざけんといてくださいと。
井上 正確には、日本テレコム関連事業がですね。「ふざけんといてください」と孫さんに言ったんですか?
近藤 言いました。そこで「何を言っちゃってんですか」みたいな話になったわけです。めっちゃ腹立ってて、「僕も切り捨てられるんだ」みたいなのがあって、それで僕はNTTに行ったんです。NTTのお偉いさんに会って、僕はもしかしたらソフトバンクから離れる可能性があると。そのときは、NTTは僕の営業力を必要としますかという話をした。
井上 すごいですね。
近藤 それぐらい腹立ってたんです。だけど本音では、孫さんに「近藤がヤバいぞ」と思わせたかったんですよ。
井上 なるほどね。
近藤 僕もNTTとは組みたくないですよ。
井上 一つ勝負に出たんですね。
近藤 そしたら孫さんから連絡がきて、「待て、何を血迷っとるんだ」と。
井上 おもしろいですね。
近藤 それで新たにYahoo! BBの回線を借りて「Nexyz.BB」というサービスを始めました。孫さんは辞めるアルバイトたちに対してお金も払ってくれたんですね。でも、「Nexyz.BB」は儲からないわけですよ。ただ、僕は社員を切れないから、何とか耐えながら、これからは自社完結型モデルでいこうと思って事業転換を図った。もう代理店はしないと。川上で蛇口を閉められたらおしまいやと。それで今の「ネクシーズZERO」や、ブランジスタの電子雑誌、「ACCEL JAPAN」(アクセルジャパン)など自社で企画したサービスを自社で販売することにしました。
靴下は白?なんでやねん!
高校を2回も中退したヤンチャな半生
井上 近藤さんの半生について伺いたいんですけども、高校を2度中退されていますね。
近藤 僕は勉強が嫌いで。嫌いというか、たぶん頑張ることが嫌いだったと思うんですよ。今の僕とは本当に逆の人間だったと思うんですよ。
井上 ヤンチャだったんですか。