銅相場の強気筋がまたもロンドン金属取引所(LME)を席巻している。3カ月先物は昨年後半、中国の景気減速を背景に1トン8000ドルを割り込んだが、24日は9700ドルを上回る水準で取引を終えた。年初からは約13%上昇している。また、世界最大規模の鉱山会社BHPは、同業で銅市場の大手であるアングロ・アメリカンに買収を提案した。こうしたことは、中国の景気回復への期待やグリーンテクノロジーに対する世界的ブーム、また、中南米での銅採掘を巡る問題などを考えれば、ある程度納得できる流れといえる。ただ、一方通行の相場展開に賭けるのは早計だろう。中国における銅の需要は見た目ほど堅調ではないかもしれない。太陽光発電や電気自動車(EV)といった、銅の使用量が多い主要分野で過剰生産能力の問題が深刻化していることは注意を要する。予測しにくいパナマの政治次第では、銅の供給は状況が変わって過剰に戻ることも考えられる。また、中国の在庫はこの季節としては極めて高水準で、需要への期待が大きく後退しなくても世界の銅価格に影響を及ぼす可能性がある。