ドラッカーの経営哲学から、
目的工学は生まれた

「産業界にはその基礎となる社会的目的が欠如しており、それが問題の核心である」
(“The absence of a basic social purpose for industrial society constitutes the core of our problem.”)

「われわれは、人間の本質、社会的目的、社会の充足、という新しい概念に基づき、自由かつ正しく機能する社会をつくり上げていかなければならない。また、社会生活の基礎となる道徳理念を発展させなければならない。そして、それは哲学や形而上学の領域にある」
(“We have to develop a free and functioning society on the basis of a new concept of man’s nature and of the purpose and fulfillment of society. A basic ethical concept of social life must be developed. It lies in the philosophical or metaphysical field.”)

「四半期業績や株価の最大化を超える『組織の目的』を設定せよ。社員たちが信奉し、全力を尽くして取り組めるような『目的』を設定せよ」
(“Define an organizational purpose that goes beyond next-quarter financial results and goes beyond maximization of shareholder wealth. Define a purpose that employees can believe in and challenges them to contribute their best work.”)

  ドラッカーは、まさしく「目的の人」といえるでしょう。そして最後にもう一つ。彼はこう言っています。

「利益は企業の目的ではない。そして、利潤の最大化という考え方は、無意味であるばかりか、危険である」
(“Profit is not the purpose of business and the concept of profit maximization is not only meaningless, but dangerous.”)

  ワルツマン氏には、メッセージを贈ってくれたお礼として、こう返すつもりです。「目的工学の原点は、ドラッカー博士の経営哲学にあり、そのゴールはその実現にある」


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『利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのかーードラッカー、松下幸之助、稲盛和夫からサンデル、ユヌスまでが説く成功法則』

もしもドラッカーが生きていたら、<br />目的工学について、こう語ったかもしれない<br />――目的工学研究所への手紙(その1)

アインシュタインも語った――「手段はすべてそろっているが、目的は混乱している、というのが現代の特徴のようだ」
利益や売上げのことばかり考えているリーダー、自分の会社のことしか考えていないリーダーは、ブラック企業の経営者と変わらない。英『エコノミスト』誌では、2013年のビジネス・トレンド・ベスト10の一つに「利益から目的(“From Profit to Purpose”)の時代である」というメッセージを掲げている。会社の究極の目的とは何か?――本書では、この単純で深遠な問いを「目的工学」をキーワードに掘り下げる。

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紺野 登(Noboru Konno)
多摩大学大学院教授、ならびにKIRO(知識イノベーション研究所)代表。京都工芸繊維大学新世代オフィス研究センター(NEO)特任教授、東京大学i.schoolエグゼクティブ・フェロー。その他大手設計事務所のアドバイザーなどをつとめる。早稲田大学理工学部建築学科卒業。博士(経営情報学)。
組織や社会の知識生態学(ナレッジエコロジー)をテーマに、リーダーシップ教育、組織変革、研究所などのワークプレイス・デザイン、都市開発プロジェクトなどの実務にかかわる。
著書に『ビジネスのためのデザイン思考』(東洋経済新報社)、『知識デザイン企業』(日本経済新聞出版社)など、また野中郁次郎氏(一橋大学名誉教授)との共著に『知力経営』(日本経済新聞社、フィナンシャルタイムズ+ブーズアレンハミルトン グローバルビジネスブック、ベストビジネスブック大賞)、『知識創造の方法論』『知識創造経営のプリンシプル』(東洋経済新報社)、『知識経営のすすめ』(ちくま新書)、『美徳の経営』(NTT出版)がある。

目的工学研究所(Purpose Engineering Laboratory)
経営やビジネスにおける「目的」の再発見、「目的に基づく経営」(management on purpose)、「目的(群)の経営」(management of purposes)について、オープンに考えるバーチャルな非営利研究機関。
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