エンジニアたちは問題を山ほど目にした。何千台ものトラックと掘削機が毎日24時間の稼働を数週間続け、サウジアラビアが進める世界最大の建設プロジェクト「ネオム」の予定地で何十万立方メートルもの砂をどかした。捨てられた砂は巨大な山となり、幅は数十メートルに伸びていた。だがそこは、紅海へ通じる水路の工事予定地だった。トラックと掘削機は再び作業に取り掛かり、捨てたものを再びすくって近くに新たな砂の山を築いた。高くついたこのハプニングは、サウジのプロジェクトが大胆なコンセプトとして始まり、無秩序に膨張する前途多難な事業へと変貌していく波乱に満ちた道のりを象徴している。懐疑派を尻目に、サウジは何千億ドルもの資金を注ぎ込んでネオムのプロジェクトを進めている。大きさは米マサチューセッツ州に匹敵し、SFばりの建築物や乾燥地帯でありながらスキーリゾートも備え、ニューヨーク市の人口を上回る人を呼び込むための派手なプロジェクトの数々を一から作り上げようとしている。
サウジ巨大都市構想「ネオム」 立ちはだかる現実の壁
全長170キロメートルの超高層ツインビル構想、コスト高と建設問題の浮上で勢い失う
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