山口 ただ、僕たちの世代から見ると、官僚の価値観がクリエイティブではないように見えるんですね。そこは民間の金融の力で進めいったほうがいいのではないでしょうか。

松本 憲法にも書いてあるように、官僚は全体の奉仕者です。官僚をダメだと言うのではなく、官僚を説得して枠組みづくりをさせ、そのうえでお金が流れるようにしたほうがいいと思います。官僚にクリエイティビティがないと断罪するのは、道具を使っていないだけではないでしょうか。バットを使わないと野球はできないですよね。前政権は道具を使わずに改革をやろうとしたから、うまく進まなかった面もあるのではないでしょうか。安倍政権は道具を使おうとしていますよね。官僚になっている僕の友人たちも、めちゃくちゃ頑張っていますよ。

山口 そうなんですか。

松本 官僚の給与水準は決して高くはないでしょう。それでも彼らは、僕たちより国のことを考えていると思いますよ。たしかにクリエイティビティは失われているかもしれませんが、だからといって使わないのは、オールジャパンでリソースを活用する視点で見ればもったいない。考えてみてください。もし安倍政権がうまくいかなかった場合、その落胆たるや想像もできないほどひどいことになると思いますよ。それは日本国内だけでなく、世界にも波及するはずです。かつてない強烈なマイナスのスパイラルに陥り、大変な事態を招きかねない。問題をあげつらうのではなく、ここはみんなで「踊る阿呆」にならなければいけないと思いますね。

山口 なるほど。それぞれの分野の人が競争心やライバル意識を持ちつつも、一体感をもって生産的に取り組むべきですね。

松本 まあ、一体感を持つのは難しいと思うので、少なくとも前向きに競争するようになればいいのではないでしょうか。

次回は4月15日更新予定です。


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