山口 確かにそうですね。僕は現在シェアーズという会社を経営していますが、2005年に立ち上げたこの会社を、2010年に1度売却したんです。その後2年間浪人だったのですが、志を曲げることはどうしてもできず、2012年の夏に再起動させました。

 僕のビジョンは「可能性に対してエネルギーを供給する」ことで、価値を生み出す人に対してどのようにエネルギーを供給すれば物事が創造されるかという点に絞って事業を進めています。金融情報メディアとして徹底的に企業価値分析をやっていますので、松本さんが志向される最高のトレーディングシステムの一角としてお役に立てることがあれば、ぜひ協力させてください。

松本 ぜひ。

山口 松本さんと同じく、僕もお金は天下の回り物だと思っているので、返ってくる見込みの有無にかかわらず、マーケットにお金を「流す」方針でやっています。それによって、お金の心配をせずに自分の好きなことをやるというメンタリティが醸成されればいいなと思っています。

松本 なるほど。面白いですね。

官僚を批判するのではなく、
官僚を使ってお金を流す仕組みをつくるべきだ

山口 先ほど出た年配の方からの所得移転に関して言えば、僕はそれを国家がやるのは雑だと思っています。たとえば「孫ファンド」をつくって、結婚や出産のタイミングで1000万円なり決まった額が孫に支払われる仕組みができれば、お金がないから結婚できない、子どもをつくれない、と尻込みする若者に対するファンディングとして機能するのではないでしょうか。

松本 この4月から運用が始まった、教育資金の贈与が1500万円まで非課税になる仕組みが使えますね。この仕組みを応用して、教育資金とは別に結婚や出産用に1000万円の枠をつくればいい。この仕組みは贈与をしても、教育資金として使うのは6年後、12年後、18年後など一定の期間タイムラグができます。それと同じで、子どもが生まれた時点で結婚・出産用の1000万円を信託しておけば、実際に使うのは少なくとも20年後以降になります。そうすると、長期の投資商品になりますよね。その資金を使って国が何かできるかもしれません。たとえば20年物のゼロ・クーポン債や、あるいは東北の復興向けの長期ファンドも可能です。国がそれをやるうえで問題になりそうなのは、規模でしょうか。