私は、サイゼリヤとマクドナルドの違いを従業員に300個以上書かせて、社内で討論し、改善案を出して実行する……ということを何回も繰り返してきました。

 今のサイゼリヤがあるのは、マクドナルドのおかげでもあるのです。

 このように、優れた人や優れた企業から学ぶことは、非常に有意義だと思います。

「ストアコンパリゾン」で
他社との差を見つける

「ストアコンパリゾン(競合店視察)」という言葉をご存じでしょうか?

「comparison」とは、「比較」「比べること」という意味です。業界ナンバーワンのチェーンなど好業績店を観察して、自分たちのやり方と比較し、その「差」から何らかの気づきや、再現性のある法則を導き出していくことを言います。

 それを自分たちの組織に取り入れ、改善・改革につなげていくことが目的です。

 そのやり方は、次の通りです。

(1)観察……「商品」「設備」「作業」の3分野について、それぞれ100項目ずつ「気づき」を書き出していく(見えているものを、数値を混ぜながら具体的に書き留める。たとえば「設備」の場合は、壁、床、マット、照明、テーブルとイスなど。床にマットを敷いていれば「だいたい何cm四方で、どんな色か」などを書く)。

(2)因果関係を探る……記した項目について「なぜ、そうしているのか?」という理由や目的を考え、メンバーで話し合う。

(3)改善案を出す……議論をもとに自分たちが取り組むべき事柄を決定する。「実現に長期間かかる理想の案」(長期計画)、「少し時間のかかる案」(中期計画)、「すぐにできる案」(2~3カ月計画)という3段階に分けて考える。

(4)定期観察……一度、項目を書き出した店は、定期的に訪れるようにする。2回目の視察以降は、前回の訪問時とは異なる部分だけを書き出す。その差にこそ時流をつかむヒントが潜んでいる。

 ただ視察して終わりにはせず、「なぜそうなのか?」という理由や目的から因果関係を探り、具体的な改善につなげていくことに大きな意義があります。

 私は飲食店に限らず、大手のコンビニ、スーパー、そしてユニクロなど異業種のストアコンパリゾンもよくしています。そこで売れている商品を調べると、その時代の消費者の嗜好や動向、時流がよくわかるからです。