三菱商事「減益でも前年増のボーナス支給」は
人への投資が最優先だから
三菱商事の人的投資に関して面白いと思う点は他にもあります。
実は直近の2024年3月期に三菱商事は純利益が▲18%マイナスと大幅な減益を記録しました。そのひとつ前の期は資源価格が高騰した結果、空前の利益を稼ぎ出したのですが、その反動から昨年の資源価格の下落で利益は大きく減ったのです。
一般的に総合商社のような投資会社の報酬体系は業績連動になる場合が多いものです。利益が出た年はボーナスが多くなり、利益が減った年は少なくなる。
ところが三菱商事ではこの夏のボーナスは大幅減益にもかかわらず前年よりも大きく増やすのです。
これは経済学的には合理的な考え方です。人への投資が先にあることで、将来、リターンが後から得られるのです。
さて、このように日本全体が三菱商事のような考え方で人への投資を増やしていけば、日本の賃金の未来は明るいのですが、それとは違う別の考え方が存在しています。次にその業界を見ていくことにしましょう。