ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、自らを世界安定の要であり、経済的・軍事的・文化的に西側の対抗軸となる強大な国家の指導者だと自認してきた。プーチン氏の理想の前に立ちはだかるのが人口問題だ。ロシアの人口は何年も減少が続いており、ウクライナでの戦争によって状況は悪化している。西側の推定によると、戦場で死亡したロシア人は少なくとも15万人に上る。戦争が始まって以降、100万人近くがロシアから国外に脱出した。出生数は20年以上ぶりの低水準に落ち込んでおり、戦場に近い一部の地域では出生数は平均を大きく下回る。プーチン氏は出生率の引き上げを国家の優先課題に掲げる。同氏は2024年を「家族の年」と宣言し、子どもが3人以上の家庭を対象とした補助金制度を設けた。また、家族・児童支援策として今後6年間で最大1570億ドル(約25兆円)を投じることを公約。ロシア社会自体が変化しなければならないと述べ、大家族がもっと一般的になる必要があるとの認識を示した。