実際、今回のトヨタにまで広がった認証不正の是正を考えるに当たって、もはや自動車メーカー個社の問題だけでなく、自動車業界全体の問題として捉えていかねばならないのではないか。

 となると、自動車業界の“総本山”である日本自動車工業会(自工会)が動かなければなるまい。自工会は、豊田章男氏が会長を異例の3期6年務めて、24年1月に片山正則いすゞ自動車会長にその職を譲ったばかり。片山自工会体制が今年からスタートしたが、幸いいすゞだけが一連の不正から外れていることで、リーダーシップを発揮しやすい。

 自工会には、事務局トップの副会長専務理事に経産省の自動車課長OBが就く慣例があり、5月23日に松永明元特許庁長官が就任したばかりだ。加えて、事務局次席の常務理事には国交省の自動車局元幹部が就く慣例もあり、昨年4月に江坂行弘元国交省自動車局次長が就任している。今回の事態で日本車全体の信頼問題になり、今後の日本車の国際競争力が問われる流れを是正していくには、自工会と国交省との対話による改善の方向も求められよう。