本来、「世界の自動車品質をリードする日本車」の体制づくりは、官民一体で進めてきたはずだが、ここ10年近く自動車の不正問題が連発している。

 16年の三菱自動車の燃費データ改ざんを皮切りに、同年のスズキの燃費不正測定、17年の日産自動車とスバルの完成検査不正、18年にはスバル、日産、スズキ、マツダ、ヤマハ発が排ガス・燃費で不適切検査、22年に日野自が燃費・排ガスの試験不正、23年にダイハツが衝突試験不正、豊田自動織機がエンジン不正と続いた。今回の5社の不正で、トヨタを筆頭に日本車メーカーほぼ全てで不正行為が明るみに出たということになる。

 もちろん、品質不正と言っても悪質性の大小はさまざまだし、現場の担当はより高いハードルを自ら課して品質を担保しようとしたケースもあるようだ。だが、法令順守は絶対であり、ルールは守らなければならない。

 そもそも、一連の不正につながった型式指定制度とは、1951年に成立した道路運送車両法により定められた自動車の大量生産と安全性を両立するための仕組みで、70年以上続いてきたものだ。型式指定の取得にはエンジンや安全装置など47項目の基準をクリアする必要がある。日本独自の4項目を除く43項目は国連の協定で定められた国際基準である。