認証不正での3社のトップ謝罪会見だけでなく、先の日産による下請法違反も、自動車業界の信頼性を揺るがす大問題だ。

 自工会副会長でもある日産・内田誠社長は、個社の問題としながら、あえて5月23日の自工会の会見で説明・謝罪の場を設けた。異例とはいえるが、片山体制へ移行する中、自工会も変化をしているのだろう。その後、日産はこの件でも社内調査結果の会見を行っている。

 自工会は、下請法違反の件に関して、サプライヤーとの適正取引の実現に向けた業界としての「自主行動計画」とその実効性を高める「徹底プラン」の改訂を発表している。また、今回の「型式指定」に関する不正が相次いで発覚した問題を受け「業界全体で再発防止に全力で取り組むべく、当局からの指導に従い、認証申請における不正問題の解決を徹底的に推進していく」との声明を発表した。

 下請法違反でのサプライヤーとの適正取引にしても、型式指定の不正拡大の是正にしても、当然個社のコンプライアンスとガバナンスを確立する必要があるが、一方で業界全体でも変革に取り組む必要がある。EVや自動運転、さらにSDV(ソフトウエア・デファインド・ヴィークル)への開発が加速する時代、改めて官民一体となった制度の改善や将来の在り方の検討を進めていくべきだろう。

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆  佃 義夫)