NATOとの連携や日比「準同盟」化、安全保障が“突出”する日米中関係の危うさNATO創設75周年を記念する年次サミットのためにワシントンを訪問した岸田首相 Photo:Kevin Dietsch/gettyimages

「米国追随」が正しい戦略か
同盟国との連携強化で中国に対抗

 ワシントンで7月9、10日に行われたNATO(北大西洋条約機構)首脳会議は、共同宣言でロシアに侵攻されたウクライナへの支援継続とともに、中国を「ロシアへの決定的な支援者」と明記し、中国の動きを強くけん制。パートナー国として韓国や豪、ニュージーランドとともに参加した岸田文雄首相は「欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分」と、NATOとの協力強化を表明した。

 これに先立つ8日には、日本はフィリピンとの間で、南シナ海や東シナ海への進出を強める中国に対抗するため、自衛隊とフィリピン軍の共同訓練などをやりやすくする円滑化協定(RAA)に署名。日本とフィリピンは、今後、国内手続きを経て安全保障面での「準同盟国」の関係となる見通しだ。

 こうした動きはいずれも、同盟国との連携強化で中国やロシアへ対抗していくという米国の安全保障政策に追随するものだ。だが、それだけで日本の安全が担保されるわけではない。

 米国との同盟関係を強める「梃子(てこ)」としても、日本は外交力を高め、経済を中心とした中国との独自の関係作りを進める必要がある。