同じホテルで部屋タイプも同じなのに、宿泊費が違う

 2人での出張を終えた翌週の月曜日。昼休み中にA課長とB代理はそろって総務課に出向き、たまたま居合わせたC部長に出張旅費精算書を提出した。精算書を預かったC部長は2人が帰った後何気なく精算書を眺めていて、宿泊費に違いがあることに気づいた。添付されたホテルの領収書を確認すると同じホテルで部屋のタイプ(スタンダートシングル)も一緒だったが、A課長が提出した領収書には1万円、B代理のは8000円と記載されていた。

 C部長はランチタイムから戻ってきたD主任に2人から預かった旅費精算書を持っていき、宿泊費の違いを指摘した。D主任も「確かに変ですね。ちょっと調べてみましょう」といい、ネットで乙丙ホテルのサイトを開き、宿泊プランを確認した。

「このホテルは木曜宿泊だとシングルで8000円です。あれ?会員限定ですが2000円分のQUOカード付きプランもあります。これだと1万円ですね。もしかしたらA課長は会員で、毎回QUOカード付きプランで予約しているんじゃないですか?出張の度に同じホテルを利用しているので、会員になってもおかしくないですよ」

「何だと!じゃあ、A君はこれまで宿泊代をごまかして自分の懐に入れていたわけだ。許せない。早速本人に確認し、事実なら懲戒処分だし、QUOカード分の差額も返してもらおう」