出張交通費や宿泊費を社員のクレジットカードで支払った場合、ポイントの扱いは?
続けてD主任が尋ねた。
「じゃあ、出張交通費や宿泊費を社員本人のクレジットカードで支払い、ポイントが付いた場合、そのポイントの扱いはどうなりますか?」
○出張費用を一旦個人で立て替える際に、個人のクレジットカードで決済をした場合には、ポイントやマイレージは個人に帰属する。従って、一般的にはポイントやマイレージを私的に利用しても構わないとされる。
○また、上記の扱いで得たポイントやマイレージを個人で利用しても、それが会社の不利益になるとまでは言えないため、横領罪など刑事上の罪に問うことはできない。
○ただし就業規則に「会社の経費を個人で立て替えて支払い、付与されたポイントは会社の財産となる」旨が明記されていた場合、個人のカードに付与されたポイントを私的に利用すると、横領罪に問われる可能性がある。
○従業員が個人のポイントを使って経費精算した場合、従業員はポイント利用分を含めた全額を会社に請求できる。
○出張費用を法人カードで決済した場合に付与されるポイントは会社に帰属する(マイレージは個人に付与されるので法人カードには付与されない)。会社の許可なく私的に利用した場合、業務上横領罪に問われたり、懲戒処分及びポイント利用分の返還請求の対象になったりすることがある。
C部長は、「就業規則にはポイントに関する規定はないし、個人で自由に使ってもらっていいんじゃないの?付与されたポイントを後日現金で返してもらっても、かえって精算事務が面倒だよ」と言い、D主任も同意した。
E社労士はさらに、「出張費用について、出張する社員に法人カードを持たせて、出張費用をその中で決済させる、交通機関と宿泊は会社側で手配と支払いをするなどの方法を取れば、社員は立て替え払いをしなくて済むし、精算業務の簡素化になります」と付け加えた。