人も財政も消える街#3Photo:PIXTA

政令指定都市などの大都市は、今後も総人口の減少は緩やか、もしくは微増する見通しだ。だが、安泰ではない。生産年齢人口の減少で税収減が見込まれる中、高齢者の増加ペースは加速する。1位の仙台市は生産年齢人口が2割減かつ高齢者人口が3割増加する。2位の川崎市は生産年齢人口が1割弱減にとどまるが、高齢者人口は1.5倍になる。高齢者人口増加への対応が急務だ。特集『人も財政も消える街』(全6回)の#3では、高齢化が加速する大都市ランキングを作成するとともに、今後、大都市が直面する窮状を描く。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

バス、地下鉄に格安で乗れる
敬老乗車証の負担率を引き上げる仙台市

 仙台市(宮城県)は、今年10月から敬老乗車証の負担率を引き上げる。

 これは70歳以上の市民に専用のICカードを配布し、そのカードにお金をチャージすることで市営バス、市営地下鉄、宮城交通のバスに乗車できる制度だ。

 これまでは介護保険料の所得段階5以上の市民は100円で1000円のチャージをすることができたが、10月以降は250円で1000円のチャージとなる。同所得段階1~4の市民は50円で1000円チャージできたのが10月以降は100円で1000円チャージとなる。

 仙台市が負担率引き上げを決めた背景には市民の高齢化がある。2014年4月1日時点で65歳以上人口は21万6548人、市全体の人口に占める比率は20.7%だったが、24年4月1日時点ではそれぞれ26万7488人、25.2%となった。総人口は同期間に1.5%の増加だったのに対し、65歳以上人口は23.5%増加した。

 仙台市も属する政令指定都市など大都市は人口が増加、ないしは減少ペースが今後も緩やかだが、高齢者人口は急増する。同時に現役世代である生産年齢人口は減少していく。高齢者に対する費用は増加していくのに対し、生産年齢人口の減少で市税収入は減少していく。

 過疎地域で人口が減少する地域はもちろん税収減で財政状況はいっそう厳しくなるが、大都市だからといって決して楽ではないのだ。

 そこで今回、ダイヤモンド編集部では20年時点で人口50万人以上の大都市について、20年から50年の生産年齢人口の減少率と同期間の高齢者人口の増加率の和を求め、その高い順に並べた高齢化が加速する大都市ランキングを作成した。

 次ページ以降、高齢化が加速する大都市ランキングを公開するとともに、大都市が今後直面する窮状を取り上げていく。