「インデックス」「オルカン」を
呪文のように覚えると落とし穴に落ちる…!

 企業型DCとは、掛け金を勤務先が拠出し、加入者(従業員)が運用を行う年金制度のこと。2001年の制度発足以降、加入者数は右肩上がりに増えており、2023年3月末時点で約805万人、導入企業は約4万7000社にも上る。

 導入企業が増加した結果、相談に来る人に「勤務先で企業型DCをやっていますか」と尋ねると、ほとんどの会社員は「はい、やっています」と答える。

 NISAの相談に来た際には、DCでどんな商品を買っているか残高報告書を見せてもらうことにしている。すると、びっくりするほど手数料の高い投資信託を買い続けている人が少なくない。

 NISAで商品選びをする際、「インデックス投信やオルカンがいいのですね?」と言うのに、DCではインデックスとは真逆のアクティブ投信を買っていたりする。

 インデックス投信やオルカンが選ばれる「理由」を知ることをせずに、ただの「キーワード」、もしくはNISAの「答え」として覚えているだけなのかもしれない。理由を知らないから、DCの商品選びに応用が効かないのだろう。

 投資の儲けの足を引っ張るのは、「税金」と「手数料」だ。この2つを少なくするほど、効率よくお金を増やすことができるので、どんな人でも覚えておきたい。

 通常、金融商品の利益には約20%の税金がかかるが、NISAで投資をすると非課税になる。DCも同様に運用益は非課税となる。投資をするなら、税金の優遇がある制度を活用すれば、税金の問題は解決できる。

 もう一つの「手数料」については、ゼロにはできないので、なるべく低い手数料のものを選ぶ。専門家がインデックス投信を推すのは、低コストだからだ。

 そして「オルカン」を推す専門家が多いのは、投資対象が世界の株式なので、広く分散投資ができるから。

 値動きのある商品に投資をする際、絶対に儲かる「答え」はないが、失敗を減らすセオリーはある。手数料が低く、分散投資が効いた商品を、長期投資のスタンスで、積み立てで購入していく。「長期・分散・低コストによる積立」が投資の原則と覚えておこう。

 専門家はこのような理由で「NISAを始めるなら手数料が安いインデックス型の世界株式(オールカントリー)を選択肢にするといい」と言うのである。「インデックス」と「オルカン」を呪文のように覚えるのは、危険行為であることを知っておきたい。