NISAでオルカン買ってるのに
DCでは「手数料25倍超」の投資信託を放置

 姪や甥、近所に住む親せき(30~40代)もNISA祭りに浮かれている。わが家に遊びにきたときに「NISAでオルカン買っておけば、老後にお金が増えているんだよね~。積立額はいくらにするといいかな?」と、私をげんなりさせること言う。

 聞こえないふりをしたいのは山々だが、放っておけない性分なもので、別の日に時間を作り、インデックスやオルカンがなぜいいと言われているのか、理由をレクチャーする。

 ついでに勤務先のDCで何を買っているのかを残高報告書でチェックすると、投資のセオリーに反する高コストの投資信託を買っている。「どうしてこれ買ったの?」と尋ねてみると、もれなく「なんとなく」と答える。

 身内だし、タダで相談に乗っているのだから遠慮しない。もう少しつっこんで「選んだ理由をもう少し具体的に」と詰めると、「同僚がいいと言った」とか「儲かりそうな商品名だった」とか言う。まぁ、適当に選んだのだろう。

 先ほどから「投資をするなら手数料が安いインデックス投信で」と言っているが、目安となる手数料率をお知らせしよう。

 投資信託の主なコストは、購入時にかかる「販売手数料」と、保有している間中かかる「信託報酬(運用管理費用)」の2つ。

 販売手数料は、有料のものもあれば、無料のものもあるので、無料を選ぶ。信託報酬は無料のものはないので、安いものを選ぶ。高くても0.5%以下のものを選びたい。

 話題の「オルカン」とは、三菱UFJアセットマネジメントという運用会社の「eMAXIS Slimシリーズの全世界株式(オールカントリー)」のこと。信託報酬はなんと0.05775%。人気の理由は、圧倒的な低コストにある。

 身内の若者たちは、NISAでオルカンを買いたいと言っておきながら、勤務先のDCでは「信託報酬1.65%の投資信託」を買っていたりする。手数料はオルカンの25倍以上もする!

 しかも、「テーマ型のアクティブ投資信託」という投資対象を絞り込んだ長期投資には向かないタイプのもの。すぐに商品の見直しをするようにアドバイスすると、「会社のDCにはオルカンがないから何を選ぶといいのかわからない」とぐずぐず言う。

 eMAXIS Slimシリーズの「オルカン」が設定されたのは2018年と比較的最近なので、企業型DCでラインナップしている会社はほとんどない。オルカンの人気の理由をちゃんと知っていれば、投資対象が世界株式で、信託報酬の安いインデックス型の投資信託を選べばいいと応用を効かせることができるのに……。キーワードだけ覚えていてはダメ!と、再度くぎを刺しておく。