オルカンがないDCでは何を選べばいい?
選び方の鉄則とは

 相談者に話を戻すと、私の身内と同じようなケースはとても多い。特に50代だと「10年以上前に商品を選んでそのまま放置していた」という人が多い。

 また、「会社が出してくれるお金なので、自分のお金で投資するよりも真剣になっていなかったかも」と言う人もいた。真剣になりましょうよ!企業型DCは将来の退職金になるのですよ、と発破をかける。

 掛金の枠が残っていれば、給与から「マッチング拠出」ができる会社もある。マッチング拠出ができるなら、やるべき。掛金を増やすことができる上に、給与にかかる所得税・住民税の節税効果があるので活用しよう。

 何を買うといいのか迷ったら、まず商品ラインナップの表から、信託報酬が0.5%以下の商品にマーカーを引く。アクティブ型の高コスト商品は、たいてい1%以上なので、この作業により排除できる。

 次に商品名、または運用スタイルが「インデックス」と書いてある商品に印をつける。すると、「日本株インデックス」とか「世界株インデックス」が残る。まれに「新興国インデックス」の投資信託をラインナップしている会社もあるが、新興国への投資はメインにはならないので、まずは日本株か世界株への投資、またはその組み合わせがいい。

 債券に投資をする投資信託や、株式と債券を組み合わせたバランス型の投資信託、預金、保険を選ぶのはお勧めしない。DCやNISA以外で預金を持っているのなら、DCでほとんど増えない商品をわざわざ選ばなくてもいいだろう。自分のお金全体で「バランス」できていれば、それでいい。

 世の中は「オルカン」ブームであるが、個人的には日本株インデックスも積み立てすることをお勧めしている。

 日本に住んでいると、世界の経済ニュースよりも日本の経済ニュースのほうが圧倒的に多い。日経平均株価が大きく値上がり、または大きく値下がりすると、テレビのニュースや新聞などで「なぜ上がったのか(下がったのか)」といった背景を知ることができる。

 投資は「買って、持って、売って」ひとつの経験となる。持っている間に経済ニュースに関心を持てるようにならないと、将来売るタイミングを見つけることができなくなる。日本株インデックスを持っていると、経済ニュースが身近になるというのが私の信条だ。ぜひ、お試しいただきたい。