――会計責任者だけが罰せられているが、会計責任者や秘書と政治家との関係性とは?
腹の底から信頼できる秘書を持つことができるかどうかが、政治家としての成否の分かれ目だと思います。
例えば、田中角栄先生は、全権を掌握する秘書を置かず、金集めは佐藤昭子、金配りは榎本敏夫、日程調整は早坂茂三……というように、複数人の秘書に役割分担をさせていました。これが失敗でしたね。
ロッキード事件で丸紅から受け取ったとされる5億円についても、田中先生が心から信頼して、すべてを委ねることができる秘書がいれば、きちんと届け出できたはずなんです。
その点、竹下登先生と、金庫番と呼ばれた青木伊平さんの関係は強固でした。
青木さんは私にとっても兄貴のような存在で、大事にしてもらいました。1983(昭和58)年に中川先生が亡くなって、私が北海道5区から立候補したとき、自民党の公認を得られず無所属で立候補することになったんです。
ある日、金丸(信)先生が「鈴木、竹下に話をつけてあるから、帰りに竹下の事務所へ寄っていけ」と言うので訪ねると、青木さんが、金丸先生が話していた2倍の金を用意してくれてたんですよ。
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私は、「いやいや、金丸先生からは○○円と聞いてますから」と言って一袋返そうとすると青木さんが、「鈴木さん、党の公認をもらえなければ選挙資金に困るだろう。これは俺の気持ちだと思って持っていけ」というんです。いま思い出しても涙が出ます。