最大のメリットは、やはり「人間関係」ですね。同じ派閥の同志とともに「この人を総理にするんだ」という目標があると、非常に政治家として動きやすいんです。

 実は、橋本龍太郎さんが総理になったとき、小渕さんは衆議院議長のポストを引き受けようとしたんです。私は反対しました。「議長になったら総理になれません。我々はあなたを総理にするために頑張ってるんだ」と。そしたら小渕さんが「いや鈴木君、議長をやった後でも総理にはなれる。幣原喜重郎を見ろ」と言うんですよ。

「会長、幣原喜重郎は総理をやった後に議長になったんですよ。それほど国権の重みを考えたんですよ」と。そうしたら小渕さんは不機嫌な顔をしたんです。ところが、夜になって電話がかかってきて、「よく考えてみたが、鈴木君の言うとおりだ。俺は議長にはならない」と。

 結果的に、98(平成10)年の参議院議員選挙で大敗して橋本内閣は総辞職。ついに小渕総理が誕生するわけです。小渕先生は「もし鈴木君の話を聞かずに議長をやっていたら、総理の座はなかったかもしれんな」と言ってくれました。あの言葉は忘れられないですね。そして、これこそが派閥の存在意義だと思います。