セキュリティ対策のタイミングで施した
「お客様が価値を感じてくれる仕掛け」とは?

F:仕掛けをした?どのような?

齋:エレキプラットフォームの全刷新です。サイバーセキュリティの能力を向上させるだけでなく、そのタイミングでエレキのプラットフォームを全取っ替えしました。今までのロードスターって、Windowsで言えば5くらいのOSだったんですよ。例えて言えば。

F:ふっ、古ー! NDロードスターが出たのが2015年なのだから、せめてWindows 10くらいと言ってほしかった(笑)。

齋:NDのデビューが15年。その基本の設計を行うのは3、4年前。その時代のエレキプラットフォームだと、新しい規制には全く対応できない。じゃあ新たにエレキを開発しましょうとなると、軽く100億円を超えてしまう。これは誇張ナシで、本当に100億、200億のコストがかかってしまうんです。

F:そんなに掛かるものなのですか? CSMSと言っても、要するにソフトウェアのアップデートみたいなものですよね。

齋:いや、それは違います。エレキプラットフォームの総入れ替えですから、ソフトのアップデートとは大きく意味が違う。ハードもそれに対応した部品に換えなければいけないんです。ハーネスのような部品はそのままでも良いですが、分かりやすい部分で言うと、今までのヘッドランプが使えなくなります。

F:えぇ! そんなことが。

齋:僕もその報告を受けたときには耳を疑いました。「どうすりゃ良いの?」と聞いたら「変換器を付けてください」と。(ご自身の拳を示して)これくらいの大きさの変換器をフロントに2つ。リアに2つ付けてくださいと言うんですよ。え? 変換器? それを都合で4つも? 軽さがウリであるロードスターの前後にそんな重量物を載せたらどうなるか。重くなるし、コストも掛かるし、ボンネットを開けたときの見た目も悪くなる。それならもうランプごと替えちゃおうと。それで、デイタイムランニングランプを変更して、目元をよりスポーティな印象に変えて、テールランプも立体的なデザインのものに変えました。