笑いだけとればいいワケじゃない

 しかし、ソフトバンクの会議で、孫氏がオチをつけようとしたからといって、笑いをとるだけで成果が上がるというのは素人考えだ。

 調べてみると、孫氏の仕事に対する厳しさを感じ取る人もたくさんいる。ソフトバンクの社長室長をしていた三木雄信氏はこう証言している。

《孫社長は「まずゴールをこうするぞ!」とドーンとビジョンから来るわけです。そうは言っても、現場は遥か手前のところにいて、それを調整しなければなりません。中間管理職的な立場になり、両者の板挟みになってしまうことが常にありました》

《ADSL事業を立ち上げるときもそうでした。あの当時、そのまま突っ走るとチームが空中分解しそうな感じでした。単に「現場は付いていけません」とは言えませんから、何が問題点なのか現場の声を洗い出し、孫社長にちゃんと言わなければなりません》

(ビジネス+IT『孫 正義氏の右腕だった元社長室長が明かす、当時の本音と貴重な学びとは』三木雄信氏、2015年2月10日)