南昌宏・りそなホールディングス社長兼グループCEOインタビューPhoto by Yoshihisa Wada

「リテールNo.1」実現を目指すりそなグループが2018年2月から提供を開始している「りそなグループアプリ」。目標としていた1000万ダウンロード(DL)は達成間近だ。今後のアプリのさらなる活用や十六銀行(岐阜県)をはじめとした地域金融機関との提携をどう進めていくのかについて、南昌宏社長に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

金利復活が構造改革の起爆剤に
1000万DL突破後の目標は?

――日本銀行の政策金利が0.5%まで上昇した場合、りそなグループは業務粗利益に840億円のプラス影響があると試算しています。この環境変化をどのように経営戦略に取り入れますか。

 金利のない世界では、収益を稼ぐことはなかなか難しい。例えば有価証券運用では、国内債の5年物のような中期ゾーンの金利が完全につぶれていて、投資妙味がほとんどありませんでした。そこで、中長期的なフィー収益の拡充とコスト構造改革に取り組んできました。

 今後、金利の正常化で国内預貸金ビジネスが復活します。日銀当座預金には付利があり、国内債にも投資妙味が出てきました。

 同時に、構造改革もさらに進める必要があります。次世代のリテール金融を支える構造に変えていくことが、「リテールNO.1」を実現する上で不可欠です。

――「リテールNO.1」の実現に向けて、デジタル側で力を入れてきたのがりそなグループアプリです。これまで1000万ダウンロード(DL)の目標を掲げてきましたが、24年3月末には937万ダウンロードと、達成間近です。

 今ではグループアプリが顧客との最大の接点になっていて、ビジネスモデルを次世代化する上で欠かせません。データやデジタルで顧客としっかりとつながることが、これからの金融では前提になります。

りそなホールディングスは常陽銀行(茨城県)や足利銀行(栃木県)、百十四銀行(香川県)など全国の地銀にアプリを提供し、連携を深めてきた。その動きは、アプリを軸にした再編につながるのではないかと見る向きもあり、地銀業界内では耳目を集めていた。そんな中で目標の1000万DL達成が間近となり、さらに十六銀行との提携を発表したことで、次の一手になおさら注目が集まっている。次ページでは、十六銀行との提携の進捗や他の地域金融機関との提携に関する考え方、さらに他行と差別化できるという預金戦略について、南社長に話を聞いた。