「イエスかノーで答えて!」と迫るアメリカ人を一瞬で黙らせる最強フレーズとは?写真はイメージです Photo:PIXTA

日本人ができるのは「インパクトのある言葉」
「違う常識」を考える機会を与えること

 筆者は、そうではないと強く思う。アメリカに30年以上住んでいるが、近年その思いが強まるばかりだ。

 個人的経験に基づく説明になるが、英語で生活していて常にYes/Noをはっきりさせ、二元論的に自分の意見を述べるクセがつくと、自分の中の“日本人”が窒息しそうな気が、最近するようになってきた。

 日本語で話す時、筆者はかなり曖昧な性格なのだが、英語だと“白黒人間”に近づく。それこそ説明が曖昧で申し訳ないが、曖昧さの少ないコミュニケーションが増えると、自分の日本人としてのアイデンティティー、自分の重要な一部分が消されるような危機感を持ってしまうのである。

 日本人が曖昧なのは大昔からのことだ。日本語が堪能だったポルトガル人のフロイスという宣教師が1585年に書いた『日欧文化比較』には、「ヨーロッパでは、言葉においては明瞭さが求められ曖昧さは避けられる。日本では曖昧なのが最も良い言葉であり、最も重んぜられる」とある。

「日本的曖昧さは世界遺産レベル」といっても過言ではない。ただ、この点が、グローバルに活動する日本人にこれからどうプラスになるのかは分からない。今の時点では、アメリカ流のグローバルスタンダードが幅を利かせる国際ビジネスにおいては、この曖昧さは不利に働いている。

 日本人が今できるのは、(1)Yes/Noで答えられない時に「インパクトのある言葉」で返すこと、(2)アメリカ人に、「もしかして自分(達)とは違う常識で日本人は動いているのか」と考える機会を与えることに尽きるだろう。具体的にはこんなフレーズが使える。