従業員に最低基準以上の休憩時間を与えないと、使用者に罰則が

カタリーナ 「そんなことないわ。労働基準法では、労働時間が 6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に使用者は与えなければならないことになっているの。この最低基準を守れないと、使用者に罰則もあるのよ」

藤木 「そうなんですか?」

カタリーナ 「問題は、あなたの直属の上司。外部の行政機関等に相談するより、まず社内で解決の糸口を見つけた方が早いかもしれないわ」

藤木 「うちの部署は、みんな口に出さないだけで、上司のやり方に不満を感じています」

カタリーナ

カタリーナ 「ならば部署のみんなで休憩が取れていない実態を証言できるわね。休憩時間に電話対応が必要なら、休憩時間を交替制にするなり、電話番を立てるなり、受付時間外であることを対外的に示すなり、具体的な解決策を講じることはできるわ。そういう提案を前向きにしてみるのはどう?」

藤木 「それなら言いやすいかもしれません。交替制はいいですね」

カタリーナ 「実は休憩時間は、特定の業種を除いて一斉に与えなければならないルールがあるの。でも、労使協定を締結すれば、交替で休憩時間を取ることも可能よ。だから、声を上げた方がいいわ」

藤木 「そんなルールがあること、初めて知りました」

カタリーナ 「休憩時間がしっかり取れるように措置を講じてもらい、それでもやむを得ず休憩が取れない時間があるときは、労働に見合った分を支払ってもらうことね。あなたのこれまでの名もなき労働についても、ちゃんと給与として支払ってもらうべきだわ。それはきちんと話してみて」

藤木 「そうしてもらえたら、これまでのこともちょっとは報われる気がします」

カタリーナ 「あとは、あなたのトンでもない上司。何とかしてここに連れていらっしゃい。私がみっちり鍛え直してあげるわ!」

 カタリーナは、ニヤリと笑った。

藤木 「先生、なんだか怖そう(笑)。ぜひお願いしたいです!」

<カタリーナ先生からのワンポイント・アドバイス>
●休憩時間とは、「単に作業に従事しない手待時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保障される時間」を指す。
●労働基準法では、「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と規定されている(同法第34条1項)。
●休憩時間は、個別に付与すると一部の労働者に十分に付与されない恐れがあるため、特定の業種(運輸交通業、金融広告業、保健衛生業など)を除き事業所ごとに一斉に与えなければならない。ただし、窓口対応等を要する職場など、労使協定に定めて交替制を採用することもできる。
●労働者に休憩を与えない使用者は、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることが規定されている(労働基準法第119条)。

※本稿は一般企業にみられる相談事例を基にしたフィクションです。法律に基づく判断などについては、個々のケースによるため、各労働局など公的機関や専門家にご相談のうえ対応ください。

(社会保険労務士 佐佐木由美子)