歯医者「減少」時代#18Photo:PIXTA

長年の不人気により歯学部が大学経営を圧迫し、一部の私立大学で財務状況が著しく悪化している。「貧すれば鈍する」で、経営が傾けば教育の質が下がるばかりか、最悪の場合は学部廃止の憂き目に遭うリスクも否定できない。歯学部「淘汰危険度」ランキング(本特集#14『歯学部「淘汰危険度」ランキング2024【私立17大学】ワースト1位の大学は国試合格率も3割で最下位』)に続いて、特集『歯医者「減少」時代』(全26回)の#18では、歯学部を持つ私立大学財務ランキングの第1弾として、企業の経常利益率に当たる「経常収支差額比率」ランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 竹田孝洋、野村聖子)

私立大17歯学部中9学部が定員割れ
経営難で教育の質低下のリスクも

 歯科医師余りが顕在化した2000年代半ば以降、歯学部はすっかり不人気学部の代名詞となってしまった。新型コロナウイルス感染拡大による経済不安で、他の医療系学部は志願者が増加傾向だが、歯学部はその波に乗れていない。特に私立大学は深刻で、23年は17歯学部中、実に半数以上の9学部が定員割れと惨憺たる状態だ。

 大学の主な収入源は、学納金(入学金や授業料)だ。つまり入学定員が確保できない大学は、収支が悪化し、維持困難に陥る可能性が高いということである。

 しかし、学生が思うように集まらなくても、資産運用による利息や配当などといった教育外活動で利益を出せていれば、維持は可能だ。歯学部での学生生活は6年間と長い。財務状況が危機的な大学を選んでしまうと、在学中に教育の質が下がるリスクが高くなり、最悪の場合は学部自体の廃止もあり得る。歯学部選びの際には財務面のチェックも怠らないようにしたい。

 そこで、歯学部のある全国15私立大学の財務諸表について19~23年度の5年間分を分析し、九つの経営指標ごとにランキングを作成した。次ページでは、その第1弾として、企業会計での売上高経常利益率に当たる「経常収支差額比率」ランキングを公開する。