高輪ゲートウェイシティで実際に使われるFC(燃料電池)トラック高輪ゲートウェイシティで実際に使われるFC(燃料電池)トラック(筆者撮影)

JR東日本は7月30日、今年度末に開業予定の再開発地区「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)」について、水素・バイオガス・再生エネルギーを活用した環境対策の概要を発表した。約10ヘクタールという広大な敷地の「新しい街」において、CO2排出量「実質ゼロ」の実現を目指し、具体的にどのような取り組みが行われるのか。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

ゼロカーボン実現に向けて
講じられる多くの環境対策

 JR東日本は7月30日、今年度末に開業予定の「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)」について、水素・バイオガス・再生エネルギーを活用した環境対策の概要を発表した。

 高輪ゲートウェイシティは約10ヘクタールの広大な敷地に、1街区「TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE(住宅棟)」、2街区「文化創造棟(仮称)」、3街区「THE LINKPILLAR 2(複合棟II)」、4街区「THE LINKPILLAR 1 NORTH/SOUTH(複合棟I)」の5棟で構成される。2025年3月に開業するのは4街区のみで、残りは2025年度末に開業予定だ。

 これだけの規模だけに、消費するエネルギーも膨大だ。そこで、CO2排出量の「実質ゼロ」を実現するゼロカーボンでサステナブルな街を実現するため、さまざまな環境対策が講じられることになる。

 ひとつはエネルギーマネジメントだ。各所に設置された太陽光発電・風力発電に加え、都市ガスから取り出した水素を酸素と化学反応させて発電する燃料電池コージェネレーションシステムを導入。また太陽熱や地中熱、下水熱を活用した熱エネルギー供給システムも構築する。

 THE LINKPILLAR 2地下の地域冷暖房施設には、国内最大級の蓄熱槽(冷房用の冷水を蓄える施設)を設置し、建物内エリアをゾーン別に細分化して、空調設備を効率的に運転制御する。また、災害時は蓄熱槽の水を避難施設のトイレ用水や消防用水として使用できるようにした。