休廃業・解散となる
事業者が急増

 少子化が進む一方、高齢ドライバーの増加などから国内自動車保有台数は増え続けており、2014年に6000万台を突破。2024年は過去最多となる約6197万8000台となった(自動車検査登録情報協会データ)。にもかかわらず、事業継続を断念する自動車整備事業者が近時、急増している。

 実際の数字をみると、2024年の自動車整備事業者の倒産は7月までに27件、休業・廃業・解散は271件発生した。倒産は前年並みの推移となっているが、休業・廃業・解散は年換算すると460件前後となり、これまで年間最多の2021年(361件)を3割近く上回る可能性がある。

 どうしてこれほどまで休業、廃業、解散が増えているのだろうか。

 倒産は、債務(借金)を完済できないことを理由に裁判所が仲介に入り債務カットなどを経て事業を停止させる(破産の場合)。一方、休業・廃業・解散は、原則として債務をすべて完済させてから事業を停止するという違いがある。言い換えると、倒産は、事業を継続したいが、資金繰り悪化から事業継続を断念せざるを得ないケースが多いのに対し、休業・廃業・解散は、資金繰りは特に問題はないものの、経営環境の悪化から意図的に事業停止するケースが多い。

 つまり、増え続ける自動車保有台数を背景に車検や定期点検など安定した需要はあるにもかかわらず、それでも事業継続を断念せざるを得ない経営環境の大きな変化が自動車整備業界で起こっていることになる。

進む経営者の高齢化と
整備の電子化

 交通の多様化、インフラの整備や維持費などを理由に若者の自動車離れが進んでいると言われて久しいが、現場の変化はそれ以上に大きい。大きな変化は以下の通りだ。

 一つ目は「後継者不足」。帝国データバンクが2023年に行った調査では、後継者が存在しない自動車整備事業者は全体の59.7%を占めた。さらに全国の自動車整備事業者約1万7400社の経営者の年齢(2024年に迎える誕生日の年齢)を調べたところ、60代以上が全体の57.0%(70代以上は34.0%)を占め、40代以下の事業者は14.7%にとどまった。なかでも30代以下は1.6%(全業種平均は2.5%)と深刻だ。