「鉛筆なめなめ」は気持ち悪い!おじさんビジネス用語を今すぐ封印すべき理由Photo:IPGGutenbergUKLtd/gettyimages

昨今は少子高齢化が進み、労働力人口の減少が懸念されています。今後は再雇用制度などを充実させ、定年退職後の人材を積極活用する企業がさらに増えるでしょう。ただ、近頃は生成AIやロボットの進化が著しく、「人間の仕事を奪う」懸念もあります。経験豊富な中高年層といえども、再雇用後に活躍し続けるには「リスキリング(スキルの再習得)」などの自己研鑽が不可欠になります。そのための具体的な手法や考え方を、後藤宗明氏の新刊『中高年リスキリング これからも必要とされる働き方を手にいれる』から一部抜粋してお届けします。

「年功序列の文化」が薄れつつある中で
中高年層が見直すべきこと

 中高年の方がリスキリングで新たなスキルを身につけようとする際に、ぜひ取り組んでいただきたいのが、アンラーニングです。アンラーニングとは、以前習得した情報、知識、成功体験等で陳腐化しているものをリセットし、新たに受け入れる態勢を意識的に作り出すことを指します。「学習棄却」という和訳で説明されることもあります。

(1)新しい環境を受け入れるための準備

 リスキリングを始める前の準備段階として、アンラーニングはとても重要です。新しいスキルを身につけるための素地を事前に作っておくプロセスと言い換えてもよいかもしれません。欧米でベストセラーとなったバリー・オライリー氏の著書『アンラーン戦略』(ダイヤモンド社)では、アンラーニングのプロセスとして、 

・Unlearn(脱学習=過去には役立ったが、今や成功の障害になっている考え方や、身につけた行動様式を手放し、見直すこと)
・Relearn(再学習=新しい行動を試し、新しいデータや情報や視点を取り込む実験プロセス)
・Breakthrough(ブレークスルー=脱学習と再学習のステップを経たことで得られる新しい情報や洞察)

 というサイクルを回すことが重要だと述べています。

 そして、このアンラーニングをする際に最も難しく感じられるのが、おそらく、「身につけた行動様式を手放し、見直す」の部分だろうと思われます。

 例えば、人生100年時代、日本でも、これから多くの方々が人生の後半のキャリア(セカンドキャリア)において、年功序列とは関係のない働き方をしなくてはいけなくなると考えられます。

 その際に大きなハードルになるのが、年齢の上下に起因する立ち振る舞い、発言です。これは、無意識に染みついてしまっているために多くの中高年の方々が気づいていないことです。年齢が上であることを理由に「相手が自分に予定を合わせるのが当たり前」「年下は自分に敬語を使うのが当たり前」ということを前提に発言、行動しているのです。