二つ目は「人手不足」。自動車整備専門学校への入学者は約20年間で半減し、2022年度の自動車整備士の有効求人倍率は5.02倍と同年度の全業界平均(1.31倍)倍を大きく上回った。そのため、整備士の高齢化も進んでいる。社会問題となった旧ビッグモーターの問題は、こうした動きをさらに顕著化させる可能性がある。

 三つ目は「競争の激化」。かつては町の整備工場が主流となっていた時代もあったが、現在は自動車ディーラーのほか、中古車販売チェーン、カー用品販売チェーン、ガソリンスタンド、早さ・安さを売りにするチェーンなど、競争相手は数多くなっている。

 そして最後は「電子化への対応」。自動車のコンピューター制御やEV化が進む中で、2021年10月からチェックランプが点灯する機能がある全車両を対象に「OBD診断」が義務化されるなど、電子化への対応が求められている。しかし、それにはこれまでとは異なるノウハウや対応できる人材、新たな設備導入なども必要で、高齢者が経営する事業者や家族経営のような小規模事業者での対応は難しい。そのため、廃業を決めて既存顧客を自動車ディーラーなどへ引き継ぐ動きを見せる事業者もあるようだ。

 今後も上記の4つの要因を背景に、町の整備工場を中心とした自動車整備事業者の休廃業・解散は増加傾向を辿るとともに、合併・統合やM&Aで事業規模や知名度、信用を高めていく動きが活発化していく可能性もある。創業事業者数がピークを迎えた時期(1967年~72年頃)から約50年が経過した自動車整備業界は大きな転換期を迎えている。