新規で墓を作る人が減り、樹木葬の数が逆転

 また、新規にお墓を造る場合も、従来型である「一般墓」は近年存在感が低下している。お墓の情報サイト「いいお墓」が毎年実施している「お墓の消費者全国実態調査」を見ると、2020年代以降、新たに作られるお墓は樹木葬タイプが抜きん出ていることが分かる。スタンダードであるはずの一般墓は、納骨堂とともに2割前後で推移している。

「購入したお墓の種類」の推移グラフ(2018~2024)。出典:いいお墓「購入したお墓の種類」の推移グラフ(2018~2024)。出典:いいお墓
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 これはつまり、従来のお墓を不要なものと見なす人が増えているということなのだろうか?

関係性の薄い墓が増えている

 そのあたりの空気感は、墓づくりに長年携わってきた石材店に話を聞くのが一番だ。

 訪ねたのは、1967年に横須賀市に創立した大橋石材店。代表の大橋理宏さんは、墓石の販売だけでなく、改葬や墓じまいの対応も早期から取り組んでおり、引き継ぎ手がいなくなった墓を契約者の数年後に閉じる「お墓のみとり」事業を2017年から提供するなど、柔軟な姿勢でお墓と向き合ってきた。

大橋石材店の大橋理宏代表(筆者撮影)大橋石材店の大橋理宏代表(筆者撮影)

「従来のお墓を求める人は、今も変わらず求めていると感じます。動きが目立っているのは、『お墓をそれほど求めていないけれど引き継いだ』という人。そういう人が、一般墓を片付ける流れは強まっていますね」

 大橋さんが増えていると実感しているのは、関係性が希薄になった一般墓だという。

 たとえば自宅近くにある両親の墓とは別に、幼少期に他界した祖父母やその親族が眠る遠方の墓を引き継いだ場合、両者に同じ思い入れで接することは難しい。墓前で手を合わせても、後者だとその先に具体的な誰かが浮かびづらい。血縁であっても個々のつながりが薄いと、その墓を守るモチベーションが保てないのは自然なことだ。