では、そんな日本でどうやって「美しい自然を取り戻す」ためのカネを獲得するのかというと、今の日本で現実的なところでは「観光」しかない。事実として、既に国立公園の環境整備はそれで進められている。

 例えば今、いくつかの国立公園内では廃屋の撤去が進んでいる。では、そのカネはどこから捻出されているのかというと、「国際観光客税」が充てられているのだ。

 これは日本から出国する旅客(国際観光旅客等)から徴収(出国1回につき1000円)しているものだ。つまり、外国人観光客が増えれば増えるほど、「美しい自然を取り戻すカネ」が増えるということだ。

「観光立国」と「自然保護」
一石二鳥の解決策

 しかし、「外国人観光客をもっとたくさん呼ぼう」というのは国民的には受け入れ難い。ご存じのように京都やら東京という大都市圏は、オーバーツーリズムが深刻な問題になって当の外国人観光客さえも辟易としている。そこで、この問題を解決するのが「分散」である。

 日本には世界に誇る魅力的な観光資源がまだあるので、そこを打ち出して外国人観光客をそちらに誘導することで、大都市圏や一部有名観光地の「観光公害」を緩和しようというわけだ。

 ここまで言えばもうおわかりだろう。その観光資源こそが「国立公園」なのだ。