ジャクソンホール講演で「政策調整」を明言
背景に労働需給の過熱感緩和

 FRB(米連邦準備制度理事会)の9月のFOMC(公開市場委員会)で、4年半ぶりの利下げが確定的になった。

 パウエルFRB議長は、8月23日にジャクソンホール・シンポジウムで行われた講演で、「政策を調整する時が来た」と、利下げ開始を宣言した格好だ。

 講演では、インフレのターゲット達成に関して「自信は強まっている」とし、一方で労働市場に関しては、「今以上の需給緩和を求めることはしないし、歓迎もしない」と述べた。FRBに課されている二つの政策目標、すなわち物価安定と雇用最大化に関するリスクのバランスは後者への対処に移行しつつあることを示唆している。

 労働市場にあった労働需給の過熱感が緩和されたことが、利下げ開始の判断の背景にある。

 今後のポイントは利下げがどのようなパスで行われていくかだが、この点でも労働市場の展開がカギになる。