日本銀行Photo:Bloomberg/gettyimages

一時2.900%、約30年ぶり高い水準
財政リスクとインフレリスクを織り込む

 上昇基調が続いてきた長期金利の代表的な指標である新発10年物国債利回りは7月10日に急低下(債券価格は急上昇)し、前日に比べ0.133%低い2.743%で引けた。

 片山さつき財務・金融相が同日に行われた閣議後の会見で、「金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべきだ」「年金基金(年金積立金管理運用独立行政法人〈GPIF〉など)に日本の金融資産にさらに投資してもらう方向で後押しする方策を追求したい」と発言したのが背景だ。

 10年金利は、5月下旬以降、米イラン交渉の進展期待に伴う原油相場の下落から物価上振れ懸念が和らぎ、小康を保っていたが、「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針)」の原案が公表された6月末を境に再び騰勢を強め、7月9日に一時2.900%と約30年ぶりの高さにまで上昇していた。

 骨太の原案では昨年まで記載されていた「財政健全化」の文言が消え、「適切な金融政策運営が行われることも非常に重要」などと、利上げを進める日銀へのけん制とも取れる文言が記述されたことを受けて、市場は財政リスクやビハインド・ザ・カーブ(日銀の利上げが後手に回ること)に陥るリスクへの意識を強め、国債売りにつながっていた。

 片山財務相の発言で市場はひとまず落ち着きを取り戻したように見えるが、果たしてそうなのか。

「責任ある積極財政」を掲げる高市早苗政権の財政拡大路線は変わっていない。高市氏が昨年10月4日の自民党総裁選で勝利して以降、1%以上高まった10年金利の上昇トレンドは崩れておらず、市場が財政リスクとインフレリスクを織り込む流れは続いている。

 過去の政策金利とのスプレッドや高市積極財政への市場の懸念を考えると、3%を超えるのは時間の問題だろう。

 だが、長期金利抑制などで日銀が動くことはむしろやぶへびになる。