日銀の「政策反応関数」のブレが招いた市場乱高下、次の利上げを決める変数は何かPhoto:Bloomberg/gettyimages

日銀と市場のコミュニケーション混乱
「金融政策は98%がトーク」、FRB元議長の金言

 日本銀行の7月追加利上げ実施を機に、為替市場では一時は1ドル=141円台まで円が急伸、日経平均株価は、8月5日と6日には過去最大の暴落と急騰という事態になった。

 市場の乱高下は、日銀と市場のコミュニケーションの混乱が大きな原因になったと言わざるを得ない。

 米連邦準備制度理事会(FRB)の元議長であるバーナンキ氏は、2014年10月8日にニューヨークで開催されたシンポジウムに登壇し、「中央銀行(金融政策)は2%が行動で、98%がトーク(コミュニケーション)だ」という名言を残している。そのくらい金融政策ではコミュニケーションが重要ということだが、そのことを改めて認識させる事態だった。

 とりわけ日銀がどのような経済情報に着目し、その動きをどう判断して政策運営をしようとしているのかの情報発信がブレたことが混乱を大きくしたといっていい。

 次の利上げのタイミングを日銀が判断し、また市場がそれを予想しスムーズに消化するうえでも、このことは重要な教訓だ。