しかし、歴史に学べば、このようにみんないい気分になる提言に、みんながわっと飛びついた時、我々日本人は「異論」を徹底的に排除する悪い癖がある。

 つまり、水野が訴えた「日本非戦」や、総力戦研究所の「日本必敗」という提言を葬り去った「偏狭な自国中心主義」というものを社会に蔓延させてしまうのだ。。

 このような排他的なムードを回避するには、「異論」も認めることだ。柳井氏の提言のように、多くの日本人として受け入れ難い主張にも、実は問題解決の鍵が隠されていることもあるのだ。

 そのような意味では今、日本人が滅びないためには必要なのは、「異なる価値観を認める大らかさ」なのかもしれない。

(ノンフィクションライター 窪田順生)

「日本人は滅びる」論争は柳井氏の敗北、前澤氏の勝利に歓喜する人々が“危険すぎる”ワケ