混雑率1位は日暮里・舎人ライナー
「なぜ地下鉄で建設しなかった?」

図表:鉄道「混雑率」ランキング【全国版】上位(ワースト)10鉄道混雑率ランキング・全国版 上位10位(国土交通省資料をもとに筆者作成・加工) 拡大画像表示

 もはや大方の予想通りというべきか…。東京都荒川区~足立区を走る日暮里・舎人ライナー(赤土小学校前→西日暮里区間)が、4年連続で混雑率第1位(ワースト1)を記録した。

 1位となった原因はズバリ車両定員が少ないことにある。この路線は高架上を走る「新交通システム」として建設されており、一編成(5両)の定員は252人。1編成で1000~1500人を運ぶ都心部の地下鉄よりも相当にコンパクトであり、乗客が集中すると、すぐにさばききれなくなる。

 具体的に混雑率を計算してみよう。輸送のピーク時(日暮里・舎人ライナーの場合は朝7時30分~8時30分)には19本運行されるので、252人×19本=輸送力は4788人。対して同時間帯の輸送人員は8187人で、8187÷4788=1.70989975、四捨五入してパーセンテージ表示にすると171%となる。1時間で数万人を運ぶ路線だけでなく、「そこそこの乗客数+コンパクトな車両」の路線も、混雑率が高くなりやすい。日暮里・舎人ライナーは、その象徴のような路線だ。

 なお、15~19年まで混雑率1位だった東京メトロ東西線は、今も最も混雑する区間(木場駅→門前仲町駅)で約6万人を輸送しているものの、コロナ禍前19年度の7.6万人には及ばず、混雑率は199%から148%に改善された。上位10位(ワースト10)にランクインすらしなくなった。