始まりはチラシの裏のお絵描き
たゆまぬ努力が漫画家への道を開いた

 原稿を書いていた机が食事スペースに変わった。目の前にたくさん積まれている雑誌は現在連載中の作品の資料だ。舞台は1995年、高校を舞台にした漫画で、主人公はアニメや漫画に夢中の女子高生である。

「かつての自分です」

 チラシの裏には必ずお絵描きをする子どもだった。いや、お絵描きなんてレベルではない。幼い頃からすでにコマ割りでの作画を始め、小学校低学年で先生の行動をネタにして作品を作り、周囲を笑わせる。

絵を描くニコさん同書より転載

「反応を見て『あ、こーいうのがウケるんだ』と考えてましたね。自分の漫画で笑いが取れることに手ごたえを感じて」

 プロになる人というのは、「○○になろう」と決めて始めるのではなく、考える前にやり始めている人が多い。ニコさんもそのひとりなのだった。初恋の相手は『幽★遊★白書』や『SLAM DUNK』のキャラクターたち。漫画を読んでは刺激を受け、自分の作品を創り続けた青春時代。

 だが誰しも、学生のままではいられない。

「プロになるなんて無理!と思い込んでました。専門学校を卒業して就職しかけるんですけど、やっぱり絵に関わる仕事がしたくて、上京したんです」