得た仕事は出版社のアルバイト、ここから道が開けていく。イラストを描けることが知られ、誌面のカットを頼まれるように。ブログを始めたところ、面白さが評判になってテレビで紹介される。「何か1冊作りましょう」と編集者から声をかけられて、商業デビューに至ったのが2008年のことだった。

レシピ通りに作れば
必ずおいしくなるからうれしい

 取材したことをノートに整理していたら、ニコさんがお鍋を取り分けてくださった。たっぷりのもやしとキャベツがよく煮えて、鶏がらスープがやさしい味わいになっている。きのこの香りが食欲を誘い、餃子からコクも出て、食べごたえのあるお鍋に仕上がっていた。こしょうやラー油を加えてもよさそう。春雨と餃子で、結構お腹もたまる。寒い日はしょうがを加えることもあるそうだ。

 ニコさん、これまで料理とはどんなつきあい方をされてきたのだろう。

「19歳で家を出るまで、料理ってまったくしなかったんです。母と婆(ばば)との3人暮らしで、食事はずっと婆の手づくりで。今になって意味が分かりますね。婆が里芋の皮をむくとき、面倒くさいと言ってた意味とか……。婆の料理が好きでした。ジャガイモをバターと牛乳で煮たのとか、おはぎとか」