なんだか景気が良くなっている。そう感じている人も多いだろう。もちろん、アベノミクス効果で円安・株高だとか、百貨店の売り上げが好調で、といったような誰でもわかる客観的な数字によって景気の上昇を判断している人も多いだろうが、もっと定性的というか、世の中の「気分」として、景気は回復している。あるいはバブルに向かっている。そう感じている人も多いと思う。
もちろん、経済は最終的にはすべてが数字で現れるわけで、景気の良し悪しも数字で判断すべきものだが、数字というものは「結果」でしかないので、世の中の「気」がどちらに向いているのか、日本の経済活動全体がどちらに向かっているかを知るためには、数字には現れない「気の流れ」、生活者の「気分」のようなものを理解する必要がある。
そういった定性的なデータとして昔から言われているものに「タクシーの運転手」の話がある。彼らが「最近は景気がいい」、つまり客足がいいと言うときは世の中の景気も良くなっているという話である。これはこれで、ひとつのわかりやすい景気インジケーターではあるのだが、ハッキリ言ってタクシー運転手が「景気がいい」と感じる頃には、すでに世の中は好景気になっている。
つまり、タクシーの運転手インジケーターは結果論であり、株価の上昇より遅いので、「いまの景況感が正しいかどうか」を確認するためには使えるが、「これから」を知るためには適切ではないし、2~3年くらいのスパンでの景気動向を予測するにも足りない。ビジネス・パーソンが景気について知りたいのは、やはりこれからどうなるかだろう。実はそのための予測インジケーターというものはある。『女子力』である。
「女子力」と景気の相関関係
景気は女子力に比例する。女子力とは何かについては、はてなキーワードでは、「女性の、メイク、ファッション、センスに対するモチベーション、レベルなどを指す言葉」と定義しているが、筆者もほぼ同義として考えている。そして、この女子力の高さと景気は相関関係にあるのだ。世の中の女性の女子力が高い時代は景気も良くなり、低いと悪くなる。相関関係は必ずしも原因と結果の関係にはならないし、女性が女子力を高めただけで、GDPが約500兆円と言われる日本の経済全体が上向くわけもない。しかし、それでも定性的な指標としては、やはり使えると思うのだ。
景気が上向けば女性の経済力が上がり、ファッションなどへのモチベーションも上がるのは当然ではないかと思うかもしれないが、そうではない。基本的に女子力は景気の上昇に先行する。景気が良くなったから、ファッションへの関心が高まるのではなく、景気に先行して関心が高まる傾向があるのだ。
その端的な例が80年代バブルだろう。バブル時代の女性の象徴と言えばワンレン・ボディコンだが、その流行は80年代前半から始まっていた。日本におけるボディコンの先駆者とも言えるジュンコ・シマダが大人気だったのが83年、84年頃、そして85年頃にボディコンの代名詞となるピンキー&ダイアンが大ブレイクする。バブル景気の到来はその1年後の86年からだ。