岩手の奥州市を流れる胆沢川。
その河川敷に水沢リトルリーグのグラウンドがある。大谷はここで小学2年から中学1年までの6年間、練習に励んだ。ライト側に川が流れていて、その手前に木が立ち並ぶ。その枝に手作りのネットが結びつけられていた。浅利さんが続ける。
「翔平ネットです。選手のお父さんたちが一生懸命、作ったんですけど、まったく役に立ちませんでした（苦笑）。翔平がバッティング練習をすると全部、川に飛び込んでしまうんです。ですから練習ではアウトコースに投げて、それをレフトへ打てと……言われた通り、レフトへも大きな当たりを打っていましたよ。翔平は引っ張り禁止。何しろボールは1個750円でしたから、翔平に気持ちよくパキーン、パキーンと打たれたら、チームのボールが何個あっても足りません（笑）」
花巻東高校に進学してからも、ピッチャーとして160kmのストレートを投げる一方、バッターとしては高校通算56本のホームランを放った。
