プロとしてどちらの才能も伸ばそうと二刀流でスタートした大谷だったが、入団当初はホームランへのこだわりは強くなかった。プロ1年目、2013年の初夏、大谷はこう言っている。

20歳の誕生日に打った
2本のホームランで覚醒

「高校時代、自分はピッチャーで行くつもりでしたが、ケガもあってピッチャーができない時期が長かった。だから高校ではバッティング練習をたくさんやりました。試合で3番とか4番を打たせてもらって、バッターとしての自分がどんどんよくなっていくのを感じるうちに、自分で思っていたよりもっと上の自分に出会えて、バッティングが楽しくなってきました。ただ、バッターとしては4番タイプではないと思っているんです。高校のときもホームランより二塁打のほうが多かったし、どちらかというと3番バッターのイメージのほうが強いかな」

 じつは、そんな中距離ヒッターの意識を変えるきっかけとなったホームランがある。それが20歳の誕生日に打った2本のホームランだ。プロ2年目の2014年、誕生日の7月4日を迎えるまでの19歳の大谷が残したバッターとしての数字は115打数33安打、ホームラン3本。ホームラン率は38.33打数に1本の割合だった。