大学格差#15Photo:PIXTA

受験生の親世代にとって、難関国立大学の滑り止め先は「早慶」(早稲田大学、慶應義塾大学)レベルが当たり前だった。しかし、そんな認識は過去のもの。併願先として今、「早慶は余裕」と口にできるほどの国公立大学はわずかだ。特集『大学格差』(全20回予定)の#15では、国公立大をレベル分けし、各レベルが併願合格を狙える私立大学を示した「国公立大の併願先ピラミッド」を大公開する。併せて、準難関・地域拠点の国公立大10大学について、43年間の偏差値の推移早見表を掲載する。(ルートマップマガジン社取締役・編集長 西田浩史、ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

滑り止め先のレベルダウンがあらわ
「国公立大の併願先ピラミッド」

 首都圏や関西の大都市圏は、地方に比べて受験人口が多い上に教育環境も整いやすく、学力優秀層のボリュームが大きい。この層が大学入試でしのぎを削り、進学先が決まった春には全国各地にある「難関国立10大学」(東京大学、京都大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学、東京科学大学、一橋大学、神戸大学)や準難関・地域拠点の国公立大学である「ブロック大学」(筑波大学、千葉大学、横浜国立大学、新潟大学、金沢大学、岡山大学、広島大学、熊本大学、東京都立大学、大阪公立大学)などに散っていった。

 ただ近年、都会で育った学生が、地方進学を昔のようには選ばなくなり、その分、国公立大受験の滑り止め役を担う大都市の私立大学へ流れるようになった。

 地方にある難関国立大やブロック大は、他の地方国公立大ほど志願者数不足に陥っているわけではない(本特集#13『国立大「難関」と「地方」の格差が拡大!偏差値・志願倍率でくっきり【国公立56大学43年間の偏差値推移早見表】』参照)。それでも学力優秀層を獲得しにくくなっているところが増えた。トップ層のボリュームが減り、下の層が拡大しているのだ。これを如実に表しているのが、滑り止め先。併願して合格できる私立大が明らかにレベルダウンしている。

 親世代が受験生だった時代は、「旧七帝大」(東京大学、京都大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学)をはじめとする難関国公立大の滑り止め先は「早慶」(早稲田大学、慶應義塾大学)レベルが当たり前だった。しかし、そんな認識は過去のもの。併願先として今、「早慶は余裕」と口にできるほどの国公立大はわずかだ。旧七帝大3番手の大阪大志願者ですら「早慶にギリギリ合格できるかも」というポジションなのだ。

 次ページでは、国公立大をレベル分けし、各レベルが併願合格を狙える私立大を示した「国公立大の併願先ピラミッド」を大公開、「国立は私立よりも格上」と認識してきた「国立至上主義者」に絶望感を与えるような実態をあらわにする。併せて、ブロック大10大学について、43年間の偏差値の推移早見表も掲載する(難関国立10大学の43年間の偏差値の推移早見表は、本特集#1『旧帝大に、偏差値50台前半の受験者の2割が合格していた!知られざる「本当の合格率」大公開【難関国立10大学43年間の偏差値推移】』参照、難関国立大・ブロック大以外の全国56国公立大の早見表は本特集#13『国立大「難関」と「地方」の格差が拡大!偏差値・志願倍率でくっきり【国公立56大学43年間の偏差値推移早見表】』参照)。