大学格差#12Photo:PIXTA

関西学院大学の志願者数が激増している。2020年度入試に3万3209人だったものが、24年度は5万2624人。4年間で2万人近く増えた。こんなにも人気を集めている理由は「入りやすいから」。ただ、この入りやすさは「売り出しセール」のようなもので、まもなく終了するはずだ。特集『大学格差』(全20回予定)の#12では、関西学院大の入試における今後のシナリオに迫るとともに、関西の難関私立大学群「関関同立」(関西大学、関西学院大、同志社大学、立命館大学)の両方に受かったダブル合格者の進学先を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美、ルートマップマガジン社取締役・編集長 西田浩史)

「受かりやすいから」
関学の志願者数がうなぎ上り

 関西の難関私立大学群「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)の一つである関西学院大の一般選抜の志願者数がうなぎ上りに増えている。2024年4月入学者を選抜する24年度入試の志願者数は5万2624人で、21年度から4年連続で増加。1975年に次ぐ同大史上2番目に多い人数にまで膨らんだ。

 関西学院大は「西の慶應」とも呼ばれる名門大学。経済学部や商学部が看板で就職に強く、同窓会の結束力は関西屈指だ。受験生の親世代の時代には同志社大と関西私立大トップを争えるポジションにいて、一般的には関関同立の2番手というイメージが定着してきた。

 その関西学院大の受験人気が今高い理由が「関関同立の中で最も受かりやすいから」(学校関係者)である。受かりやすくなったのは一般選抜での合格者を増やしたからであり、志願者数アップの裏で、難関名門大としてのブランド力を取り戻す正念場に立っている。

 一般選抜による入学者の割合(一般選抜比率)を見ると、20年度は34.6%で関関同立の中で群を抜いて低かった。それが24年度には一般選抜比率が54.3%にまで上昇している。

 一般選抜で入学者を集められない下位の私立大は、推薦を主体とした年内入試で入学者を集めるので一般選抜比率が5割を下回るところが多く、対して難関大学は5割を超えているところが多い。一時4割を切った関西学院大は、指定校推薦など推薦入試枠からの入学者が多いことを「推薦学院大学」とやゆされ、大阪大学、神戸大学、大阪公立大学など難関国公立大学と併願する学力優秀層から進学先として選ばれにくくなった。

 これに危機感を持った関西学院大は21年度から一般選抜の入学者枠を広げた。合格者が増えて受かりやすくなり、上位だけでなく中堅クラスの高校に通う受験生たちからも受験先として人気を集めているというわけだ。

 こうした人気は、複数の難関大に受かったときの進学先選びにはマイナスに働く。

 大手予備校である東進ハイスクールは、二つの大学に合格したダブル(W)合格者がどちらに進学するかを「W合格者の進学率」として分析している。関関同立のW合格者の進学率を見ると、関西学院大は23年度に立命館大に逆転され、2番手のポジションから陥落した。

 さて、24年度は2番手に返り咲くことはできたのか。

 次ページでは、関関同立W合格者の進学率を掲載するとともに、関西学院大の入試で想定される今後のシナリオに迫る。そのシナリオに沿えば今後、関西学院大の一般選抜で合格する難度は上がっていくはずだ。