「研究不正」や「文系切り捨て」、“負の効果”生み出す大学改革の本末転倒改革の本末転倒研究や教育の現場を知らない、文科省の官僚や役人化した大学理事らが主導する“改革”の限界や不合理を強く感じている大学の研究者は筆者だけではない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

データ捏造や不公正な論文査読
増えた背景にゆがんだ“大学改革”

 国立大学の自然科学系を中心にデータ捏造や不公正な論文査読など研究不正に関する報道が増えている。

 その背景には、国立大学の法人化(2004年)を機に始まった一連の大学制度“改革”の下で、大学間・部局間の資金獲得競争や研究者になるため、あるいは、研究者であり続けるための過度の競争がある。

 外部からの研究費獲得や安定したポストを得るため成果を焦りデータ捏造などに走ることになるわけだ。

「効率化」や「競争原理導入」「グローバル化」を掲げた大学改革だが、ほかにも文科系を軽視する運営や授業の英語化率を高めるという形を整えるだけになっているのが実態だ。

 研究や教育の現場を知らない、文科省の官僚や役人化した大学理事らが主導する“改革”の限界や不合理を強く感じている大学の研究者は筆者だけではない。