【灘中合格家族】塾三昧の息子を支えた母のお弁当「7戦全勝」を後押したひと工夫とは?左から父親の東雄太さん、悠誠君、母親の由依さん。自宅のリビングで 

東西の難関中高一貫校に合格し、この春から中学校生活をスタートした4家族の自宅を訪問。独自のスケジュール管理や勉強法、子どもを支えた親のサポート……合格までの道のりを語ってもらった。1家族目は受験した7校全てに合格し、第一志望の灘中に進学した東悠誠君とそのご両親。受験勉強に励む毎日を支えた母親の習慣とは?(取材・文/フリーライター 秋田志穂 撮影/三田一季)

試行錯誤した「時間の使い方」

「上には上がいる。受験競争における厳しい環境を肌で感じてほしい」という親心から受けさせた灘中学校の模試で、悠誠君は「成績優秀者10人」に入るという“思わぬ好成績”を収めた。これが、受験のゴールを定める転機となる。

 小学4年生の終わり、東家の灘中学受験への挑戦が始まった。

 かねてより中学受験を視野に入れていた母の由依さんを中心に3人で話し合いを重ね、浜学園に入塾したのが小学3年生の夏。ピアノや水泳と同じく習い事感覚で通い始めた塾に、悠誠君は次第にのめり込んでいく。

「息子がことあるごとに『塾の授業が楽しい』と言うので、気になって講義の配信動画を視聴したら、大人も引き込まれるほど面白くて」(雄太さん)

 とはいえ、塾以外での自宅学習のスタイルを構築する必要があった。その際に最も苦労したのは「時間の使い方をどうやって身に付けさせるか」だ。

 雄太さんは公立中学の国語の教員。子どもと接するのには慣れているはずだったが、息子の行動には頭を悩ませる日々だった。

「勉強しているかと思えば、急にボール遊びを始めることもあって……。どうしてやることを終わらせてから遊ばないのかと、つい怒ってしまうこともたびたびありました」

 試行錯誤してたどり着いたのが、ホワイトボードでのタスク管理だ。各教科の課題やテスト直しなど、1週間分の「やるべきこと」をマグネット式のカードに書き込み張り出す。表面は白で、終わったら色が付いた裏面にひっくり返す。色で進捗状況が一目で分かるというわけだ。リビングの壁に掲げて、家族で共有できるようにした。

「タスクの取捨選択や、苦手科目は勉強量を増やすといったバランス調整ができるようになったのは、6年生を迎える頃です。リズムがつかめてきたのだとホッとしました」(雄太さん)

【灘中合格家族】塾三昧の息子を支えた母のお弁当「7戦全勝」を後押したひと工夫とは?タスク管理に使用していたホワイトボード。当時はリビングの壁に掲げていた