東京工業大学と東京医科歯科大学が統合した「東京科学大学」が10月1日に設立された。世界最高水準の科学大学を目指す同校の誕生は、国内トップ大学の序列に影響する。割を食うのはどこなのか。特集『大学格差』(全20回予定)の#3では、大学の世界ランキングを研究分野別まで詳細に分析し、東京科学大の脅威にさらされる大学を明らかにした。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美、ルートマップマガジン社取締役・編集長 西田浩史)
「第二東大構想」のメンツだった
東工大と医科歯科大が統合
東京工業大学と東京医科歯科大学が統合した「東京科学大学」が10月1日に設立された。世界最高水準の教育研究が期待される「指定国立法人」10大学(東京大学、京都大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学、東京工業大、一橋大学、東京医科歯科大、筑波大学)同士での統合は初めてだ。
トップクラスの大学を統合する話は今に始まったものではない。二十余年前に「第二東京大学構想」なるものがあった。東京工業大、一橋大、東京医科歯科大、東京外国語大学、東京藝術大学を統合して東大に対抗できる世界レベルの総合大学をつくることを目指し、東京外国語大の中嶋嶺雄元学長(故人)が提唱したとされる。
この構想は東京藝術大の反対で頓挫したが、2001年に同大を除く「4大学連合」が形成され、教育研究での連携が図られるようになった。この連合のメンバーの2大学が今回統合したわけだ。
教育研究活動を充実させるのに必要な資金は、トップ同士で奪い合いになっている。直近でいえば世界トップレベルの研究力を目指すために国が設立した、10兆円規模の大学ファンドから運用益の配分を受ける「国際卓越研究大学」の選出において、初回に応募した10大学の中で東大や京大を差し置いて東北大が候補に選ばれた。認定されるのは数校。東京科学大は統合を成し、次の募集でアピールしやすくなった。
医学、歯学、理工学が融合する医工連携や産学連携を進め、世界最高水準の科学大学を目指す同校の誕生は、国内トップ大学の序列に影響する。割を食うのはどこなのか。
次ページでは、大学の世界ランキングを研究分野別まで詳細に分析し、東京科学大の脅威にさらされる大学を明らかにした。