終業時間前だというのに、生田は勢いよく席を立つと、そのまま会社を出て行ってしまった。

(今より高額な給与を提示する会社からオファーが来ている。転職すればいいさ。こんな会社、やめてやる……!)

 そう思って啖呵を切ったものの、時間がたつにつれ不安と後悔の念がつのってきた生田は、社労士のカタリーナに相談することにした。

退職は撤回できる?

カタリーナ 「こんにちは!社労士のカタリーナです。今日はどんなご相談かしら?」

カタリーナ

生田 「今の会社、給与がなかなか上がらなくて……。転職しようと思って人材スカウト会社に登録したら、思った以上に良い条件の会社からオファーがあって、一番給与の高いところに転職しようかと思ってるんです」

カタリーナ 「そう。それにしては、浮かない顔をしてるわね。何かあったの?」

生田 「実は今日、上司とささいなことで揉めてしまって。『こんな会社、こっちから願い下げだ!』なんて言って、オフィスから出てきてしまったんです」

カタリーナ 「あら、それはよくないわね」

生田 「最近、人材スカウト会社経由で、いろんな会社からオファーが来ていたんです。どうせもうすぐ転職すると思って、気が大きくなっていたのかもしれません。転職先との交渉はまだこれからですが、なんだか後味が悪くて……」

カタリーナ 「そうね。辞めるにしても、立つ鳥跡を濁さずというしね」

生田 「この場合、もう退職とみなされるのでしょうか?」